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ブロックチェーンが社会を変える

ブロックチェーンが社会を変える
左から斉藤賢爾氏、山下雄己氏、蓮村俊彰氏

ブロックチェーン技術が実装されつつある社会

金融機関等のシステム外部監査や保証業務に従事。金融事業部FinTechセンターのメンバーとして、リサーチ業務のほかFinTech企業等のシステム監査にも従事。また「Digital Audit推進部」を兼務し、ブロックチェーン技術等の社会実装に資する「Digital Trust」の推進を担当。主な著書(共著)に『図解でスッキリ 仮想通貨の会計とブロックチェーンのしくみ』(中央経済社)がある。公認情報システム監査人(CISA)、公認情報セキュリティマネージャー(CISM)、ITコーディネーター。

Ⅰ ブロックチェーン技術はどういった活用がされているか

1. 注目を集め始めるブロックチェーン技術

2. ブロックチェーン技術の特徴

持ち合うデータが正しいものかどうかは、アルゴリズム(いわゆる計算ロジック)により判断されます。各ノードがこのアルゴリズムにより判断を行うことで、いわゆる「衆人環視」の環境を作っているといえます。
このプロセスを経て確定したデータの束(ブロック)が、過去に確定したデータの束と関連付けられるようになっています。この関連付けのための「サイン」のようなものは複雑な計算式により、データの束から自動変換されたものであり、次の世代のデータに関連付けられるようになっています。このため、仮に過去のデータの束が修正された場合、その次の世代のデータにも影響を与える構造になっています。
こうした構造であるため、もしデータを不正に修正することを試みた場合、ネットワーク上に複数存在するノードによる「監視」の目を盗んで、お目当てのデータだけではなく、その次の世代のデータも修正しなくてはなりません。これには複雑な計算が必要となるサインの修正も含まれるため、容易ではありません。このため、ブロックチェーンを使ったシステムは改ざんが難しい点が特徴として認識されています。

Ⅱ ブロックチェーン技術にはどのような種類があるのか

1. パブリック・ブロックチェーン

2. パーミッションド・ブロックチェーン

3. ブロックチェーン技術が活用される領域

Ⅲ ブロックチェーン技術が活用されている未来はどうなっているのか

1. スマートコントラクトとしての活用

代表的な暗号資産のプログラムでは、端的に言えば、誰から誰に、いくら送金したかを記録することが行われているわけですが、実はブロックチェーン技術にはさらなる拡張性があります。例えば、なんらかの取引が執行されるための条件をプログラムにあらかじめ設定しておき、その条件を満たした際に、設定されたサービスを自動的に執行させることも可能です。こうした仕組みを「スマートコントラクト」と呼んでいます。
スマートコントラクトを活用すれば、紙の契約を取引の都度締結する必要もなく、またプログラムで決められたサービスのみが提供されることから、効率的、タイムリー、かつ正確な処理が期待できるため、現在注目が集まっています。
なお、スマートコントラクトが、各ノード上で自律的に動くアプリケーション・プログラムである場合、DApps(Decentralized Applications:自律分散型アプリケーション)と呼ばれることがあります。従来型のシステムのようにシステム管理者を明確に特定せず、利用者等により維持・管理されることが特徴です。
また、スマートコントラクトやDAppsの活用がさらに進んで、契約手続から業務の履行、および報酬の支払まで全て自動的に実行されるようになれば、組織運営そのものを自動化できるかもしれません。こうした組織は、DAO(Decentralized Autonomous Organization:自律分散型組織)と呼ばれており、人々の働き方そのものを大きく変える可能性を秘めた仕組みとして注目されています。

2. 社会実装の先にあるもの

ブロックチェーン技術を使ったサービスは、さまざまな実証実験が進められているものの、世に広く利用されるようになるにはもう少し時間がかかると思われます。しかし、いずれは社会インフラとして実装される日が来るとみられています。
ブロックチェーンを活用したシステムの利用が、現在のように一部範囲に限られている場合と異なり、社会インフラとして利用されることになれば、世の中からシステムそのものの信頼性が問われるようになるかもしれません。
例えば、多くのパブリック・ブロックチェーンでは(これ自体が特定の第三者に依存しないブロックチェーンの利点として語られることが多いですが)明確な管理者を設置しないケースも多いことから、実装されているプログラム・ロジックが適切であることの確証がないと利用に不安を感じる場合もあるかもしれません。特にスマートコントラクトの場合、ある条件が満たされれば自動的に後続処理が執行されるようになっているため、プログラム・ロジックに誤りがあると不適切な処理が自動的に執行されてしまうことにもなりかねません。こうした事象を防ぐために、第三者がプログラム・ロジック等を検証するよう求められる時代が訪れることも考えられます。
EYオセアニアでは、AIやRPA等の最新のテクノロジーを活用したビジネスに信頼性を提供する「Digital Trust」というサービスを開始しています。ブロックチェーンについても、スマートコントラクトのレビュー等のサービスメニューを用意しています。

ブロックチェーンは、世界中どこにいても勝負できる

chaintopeインタビュー3

安土 茂亨(あづち しげゆき)氏

Chaintope取締役CTO。Chaintope設立以前の2015年よりブロックチェーンの研究開発を開始。2018年5月CTO就任しプロトコルレイヤーの技術開発を推進。2003年ハウインターナショナル入社後、B向けの基幹システムの開発、クラウドベースのインテグレーション事業を担当。ブロックチェーン関連ではBitcoinのセカンドレイヤーの研究開発や多数のPoC案件に従事。

谷口 耕平(たにぐち こうへい)氏

2010年ハウインターナショナル入社後、高等教育機関向けのWebサービス開発に従事。一部サービスのデザインから開発・運用までをリード。2018年より地方創生ICO支援やブロックチェーンを用いた社会関係資本に関するコンセプト研究開発の立ち上げに携わる。その中で Blockchain 技術の研究開発の重要性を感じ、2018年7月のChaintopeへの移籍後からBitcoin Coreをベースにしたブロックチェーンプロトコルレイヤーの研究開発に従事。

始まりは楕円曲線暗号

みなさんが仮想通貨・ブロックチェーンと出会ったきっかけを教えてください。

安土:Chaintopeは本社が福岡県の飯塚市というところにあるのですが、そこでe-ZUKA Tech Nightというエンジニアコミュニティをやっています。その中で、近畿大学教授の山﨑重一郎先生が週一で会社に来て、研究室の学生さんとその時々でテーマを決めて勉強していこうというものがありました。あるとき山﨑先生が、テーマとしてビットコインを紹介してくださったのが最初でしたね。楕円曲線暗号とは?という話から始まって。。。

谷口:楕円曲線暗号が入り口というのがまた独特ですよね。私もその勉強会で聞いたのが最初なのですが、なんだか変わったものだなという印象がありました。同時に独特な世界観に興味を持ちましたね。その当時は日頃の業務では扱っておらず、勉強会でだけ触っていました。

正田:でも最初の半年くらいは、これが仕事になる雰囲気は全くなかったよね。勉強会で山﨑先生が言うからやってみるか、という感じでした。

福岡でブロックチェーンに取り組む理由とは?

そこからなぜ、会社として本格的にブロックチェーンに取り組み始めたのですか?

安土:話しているだけではしょうがないので、まずはブロックチェーンを使って何か作ってみようということになりました。ただ、初めからお金を扱うのはハードルが高いので、直接ビットコインを扱うのではなく何か別のものをやってみようと。そこで、セカンドレイヤープロトコルで、トークンをビットコインのブロックチェーンに乗せて動かしてみるというものを作ったんです。これが、門司港で行われたイベントのグルメ選手権で使える電子投票システムでした。

正田:福岡のRuby大賞というものがあるのですが、この電子投票の仕組みが優秀賞をとったんです。ネット上でも取り上げられ、問い合わせが急増しました。それが2016年ごろですね。 初めはハウインターナショナルという会社で取り組んでいましたが、そこでブロックチェーン事業専門の会社としてChaintopeを設立したというわけです。

福岡に会社の拠点を置くメリットとはなんでしょうか?

正田:やはり福岡には勢いがありますね。ブロックチェーン界隈では、東京を除くと福岡にエンジニアが1番多いという話もあります。また、行政が非常に協力的であるというところもポイントです。福岡市がスタートアップを応援する制度を整えているんです。今日インタビューを行なっているこちらの場所はThe Companyというコワーキングスペースなのですが、このワンフロアはブロックチェーン企業を集める空間になっています。行政も地域の人も協力的なので、福岡は屈指の地方都市と言えるでしょう。

ブロックチェーンがもたらすインパクトとワクワク感

ずばり、ブロックチェーンの面白さとは?

安土:最初はどうやって成り立っているのかがすごく不思議でした。分散型で誰も中央で管理をしないのに、取引をみんなが承認できるというのが技術的に大きなイノベーションだと感じています。現在のシステムは必ずサーバーがいてクライアントがいるというのが一般的ですが、分散型のシステムがもっと台頭してくる時代がくると思うとワクワクしますね。それがブロックチェーンに取り組むモチベーションでもあります。

谷口:ネットワークの中で生まれて流通していき、ネットワークの中で世界が完結する。誰か特定の人が管理するわけではなく、かつ止めることもできないというビットコインの仕組みを目の当たりにした時、直感的にどう動いても世の中に対してのインパクトは出てくるだろうと感じました。期待感もありながら、同時に大きな止められない変化が起こるというある種の怖さみたいなものもありましたね。

正田:ブロックチェーンに関わっていると、突然天才が現れるんですよ。型にとらわれない若いエンジニアが。一見めちゃくちゃなんだけれども、ふと常識を飛び越え次の世界をイメージしてシステムを作り上げていく。こういった人々が時代の変わり目には出てくるのだなと実感しました。 昨年から規制が厳しくなり、正直やりづらさもあります。しかし、これだけ国などの規制当局が警戒するということは、何かしら社会的に大きな影響を及ぼすという裏付けでもあると思うんです。

変革は徐々に訪れる。未来の資本主義とは?

Chaintopeがブロックチェーンへの取り組みで目指していきたい未来とはなんでしょうか?

正田:昨年リリースしたMasachain(マサチェーン)というプロジェクトでは、様々な歪みを抱える現代の資本主義のアップデートを目指しています。Masachainは人の信頼やコミュニティへの貢献を可視化し、新しい軸での人的・金銭的支援を受けやすくなるというプラットフォームです。

ブロックチェーンのイノベーションは”本物”

これから業界を目指す方々へメッセージをお願いします。

谷口:まだ整理されていなかったり曖昧であるところが多い業界です。そのため技術力・リサーチ力も高いものが求められます。ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアを活かして、さらに深いところで専門性を高めたい方や新しいテーマを探している方にはやりがいのあるものではないかなと思います。

安土:まずは興味を持っている方・チャレンジ精神のある方に業界に入ってきて欲しいですね。企業や人を信頼する代わりに数学を信頼しようというプラットフォームなので、そういったところを研究したいモチベーションのある方は、この業界でかなり伸びるのではないでしょうか?

正田:新しい領域だからチャンスがいっぱいあると思うんです。日本が世界に先んじてベース技術を作れる領域は非常に少ないですが、ブロックチェーンはその一つとなりうる。それに、一生の中で時代の変わり目に巡り合えることはなかなかありません。「ブロックチェーンは社会インフラを変えるものになる」、「インターネットに続くイノベーションだ」という話は本当だと思っています。

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ブロックチェーンとは?

経済産業省は、「平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備 (ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)」にて、ブロックチェーンの国内市場規模をおよそ67兆円と予想しています。

ブロックチェーンネットワーク

図1「ブロックチェーン」の基本概念図

ブロックチェーンの特徴

図2 「ブロックチェーン」の特徴 --> 図2 「ブロックチェーン」の特徴

トレーサビリティ(追跡可能性)

耐改ざん性(改ざん不可能)

透明性(全員が情報共有)

スマートコントラクトとは

図3 スマートコントラクトの例

図3 スマートコントラクトの例

ブロックチェーンで世の中はどう変わる?(前編)

左から斉藤賢爾氏、山下雄己氏、蓮村俊彰

左から斉藤賢爾氏、山下雄己氏、蓮村俊彰氏

ユーザー同士が完璧に同じ情報を持ち合える=ブロックチェーン

蓮村:まず、斉藤先生にFINOLABに来ていただけて光栄です。斉藤先生は『これでわかったビットコイン: 生きのこる通貨の条件』(太郎次郎社エディタス)や『ブロックチェーンの衝撃』(日経BP社/共著)などの著作がありますが、いつごろからデジタル通貨の研究を進めているのでしょうか。

斉藤:私は元々、日立ソフト(現・日立ソリューションズ)でエンジニアとしてコンピューターOSの開発に携わっていました。その後2000年から慶応大学SFCに移り、「デジタル通貨」を含む「インターネットと社会」の研究を続けています。

蓮村:そもそもビットコインなどで使われている技術「ブロックチェーン」とは何か。これを斉藤先生に分かりやすく解き明かしていただきたいと思います。ビットコインなどの仮想通貨には、公開取引簿と呼ばれる「過去を含めた全取引の履歴」があって、それをユーザー全員が確認できるのが特徴です。この仕組みを確立しているのがブロックチェーンの技術なのでしょうか?

斉藤:そうですね。世界中で行われている「AさんからBさんにコインをいくら送る」というデジタル上のやりとり一つ一つが、「ブロック」と呼ばれる記録の塊に格納されています。一つのブロックには、「AさんからBさんに何コイン送りました」とデジタル署名された1000個程度の情報が入っていて、それがチェーンのようにどんどん連なっているイメージです。次のブロックの中に、前のブロックの「ハッシュ値」を入れ込むことで、前のブロックの中身がロックされます。

ブロックチェーンのイメージ図

斉藤:銀行や政府が元となる情報を持っていて、そのコピーを配布するような中央集権的な形ではなく、ユーザー同士が同じ情報を持ち合う形で記録の同一性を確保できているのが、ビットコインなどのデジタル通貨の面白いところです。

山下:1カ所にデータが集まっている場合には、もしそこが破壊されたらおしまいですが、ブロックチェーンの場合にはそれぞれのユーザー全員が同じ情報を持っているので、理論的にはネットワークに参加しているコンピューター全てを破壊しないとダウンしない仕組みになっています。これは、一つのビットコイン取引所が破綻してもビットコイン自体は別の取引所を通じて利用され続けていることからも分かります。

蓮村:誰かがその記録にウソを書きこんで、詐欺を行ったりはできないのでしょうか。

斉藤:それを防止するために、デジタル署名や「ハッシュ値」の技術が使われています。ユーザー同士が互いに中身が明らかな情報を持ち合うことで不正防止ができていますし、ユーザー間で記録が完璧に同一だと保証されれば、安心して通貨として使えるわけです。

山下:誰かが記録を書き換えたとしても、他のユーザーはデジタル署名によってその記録が正しいかどうかすぐに確認できるので、改ざんが露呈する仕組みになっています。

斉藤:お互いに同一のデータを持っていることが保証できるので、ブロックチェーンは金融に限らず、さまざまな分野で使える可能性をもっている技術です。

ビットコインのブロックチェーンでは、即時決済ができない

蓮村:では、現時点でのブロックチェーンの問題点を教えてください。

斉藤:いくつものブロックが連なっていく際に、枝分かれしてしまう場合があります。例えば「500ビットコインを保有するAさんは、Bさんに500ビットコインを送った一方、実はCさんにもその同じ500ビットコインを送っていた」という矛盾する二重の情報がブロックチェーン上に発生したとします。この場合、「一番長いチェーンが正しい」という原理があって、どちらかのチェーンは消滅するのですが、それに時間がかかるのです。つまり、「ファイナリティー」と呼ばれる決済完了の判断がすぐにはできず、しかも厳密には永遠にできません。

分岐したブロックチェーン

一番長いブロックチェーンが有効となる

山下:例としてよく出てくるのが「ドローン自動販売機」の話ですね。

斉藤:そうです。例えば、お金を支払った人のところにドローンが来て缶ジュースを落としてくれる自動販売機を開発したとしましょう。スマホからビットコインで支払うと、そのドローンは缶ジュースを落とさないといけないですよね。

蓮村:それだと、缶ジュースを飲みたい時に飲めないですね。

斉藤:実際には、缶ジュースはすぐに落とされるでしょう。事業者はもしかしたらジュース1本分の損はするかもしれないけれど、そのリスクを取った方が商売としては成り立ちますから。誰かが「缶ジュースを飲みたい」と思ってから、手元に落ちてくるまでに1時間かかったら、その商売は成立しません。ですので、ブロックチェーンの連鎖に入る前にジュースは落としてしまうわけです。

蓮村:これが缶ジュースではなくて、より高額な取引になってくると問題になりますね。

山下:ビットコインのものとは異なる新しいブロックチェーン技術の中には、ファイナリティーが整備されているものもありますね。話は変わりますが、ブロックチェーン上であらゆる資産や契約を扱うことのできるプラットフォーム「イーサリアム」をベースにした自律分散型投資ファンド「The DAO」が、今年の6月にハッカーからの攻撃を受け、5000万ドル(約52億円)が流出する危機に遭いましたよね。業界が騒然とした事件だったのですが…。

斉藤:イーサリアムは、ビットコインの反省に基づいてつくられたブロックチェーンで、「The DAO」はこのイーサリアムを基盤に、参加者が投資先を決めるという投資信託のようなものです。The DAOにバグがあって犯人に資金が流出し、イーサリアムの通貨価格も暴落しました。その後、開発者によって流出した歴史(ブロックチェーン)ではない「正しい歴史」を伸ばしていくという選択肢が検討され、その「正しい歴史」はコミュニティーの97%の支持を得て可決されました。今回はコミュニティーの高い支持を得られましたが、自律分散型といいつつ、開発コミュニティーやマイナー(コンピューターで新規通貨を“発掘”する人)と呼ばれる存在がゆがんだ歴史を正せるほどの力を持てる可能性があるということです。これは、ある意味中央集権的なのではないかと…。

蓮村:過去の行為を帳消しにできる権力を、開発コミュニティーやマイナーが持てるかもしれないということですね。

斉藤:そうですね。実は分散型システムとしてうまくできていないのではないかということです。例えばEメールの言語も最初は英語しか使えず、英語以外は「暗号」に当たるからやめてくれといわれていました。でも日本の開発者があれこれ試して、JISコードを用いて日本語でも送信できるようになり、今では世界中の言語が使えます。本来技術というものは、いろんな技術者があれこれ試し、その実績に基づいて最適な形に変えていくものだと思います。

印刷や押印といった手段は、全て置き換え可能

蓮村:仮想通貨以外では、どのようにブロックチェーンを応用できるのでしょうか。例えば、私たちが通常何らかの契約をするときは、お互いに書面を2通用意して、それぞれを確認し、印鑑を押して、割り印を押してお互いの間で持ちますよね。このように金融に限らないケースでもブロックチェーンの技術が役に立つ、ということでしょうか。

斉藤:契約の話などはまさにそうです。われわれが今まで紙に印刷し、それに押印したりサインをしたりする行為が、全部「デジタル」に置き換わります。今はその真っ最中で、これら全てがブロックチェーンの技術で置き換わるかどうかは分かりませんが、今ある技術の中でブロックチェーンは有力な候補の一つです。

蓮村:山下さんにお聞きしますが、ISIDはこのブロックチェーンの技術を使って、みずほフィナンシャルグループとの実証実験をいち早く行っていますね。

山下:はい。みずほフィナンシャルグループとは、シンジケートローン業務(複数の金融機関が協調して一件の融資を行うこと)を対象とした実証実験を行っています。シンジケートローン業務を選定した理由の一つは、関係当事者が多くフローが複雑であるためです。まだ新しい技術であるブロックチェーンが実際にどこまで業務に適用可能かどうか見極めたいと思っています。その上で、他の業務分野の活用も含めた検討をしていきます。

蓮村:金銭の出納以外の作業も、ブロックチェーンで置き換えができるかもしれないわけですね。

山下:はい。先ほどお話に出た「イーサリアム」というブロックチェーンでは、契約の発行から資産の移転までを行う「スマートコントラクト」という仕組みが実現されています。お金の出し入れだけでなく、これまで通帳と印鑑を用いて確認していた本人確認や、複数の企業間で何度も行っていた取引照合といった作業についても、ブロックチェーンを使うことで自動化できる可能性が高いです。これにより、これまで膨大なコストをかけて行っていた作業を大幅に減らすことができると考えています。

蓮村:ありがとうございます。後編ではより具体的にどういった業種でブロックチェーンが使われていくのか、そして世の中はどう変わっていくのか話を深めていきたいと思います。

方 丈 社

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「日本をこう変える」著者 松田学氏を囲むクロストーク
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人々の価値観も国の財政も
お金のあり方も対転換の時代へ

■ 目次

はじめに
人類史上の大変化を象徴するいくつかの事件
しかし、答えが中国秩序であってはならない
古代から世界に影響を与えてきた日本
日本は世界のソリューションセンターになる
ブロックチェーン革命で日本は有利なポジションに立つ
競争だけではない、もうひとつ、協働の社会を
国民本位の有為な政治を

第1章 人のきずなと生きがいを安心して追求できる社会づくり
日本型コミュニティをバージョンアップする
「1940年体制」が戦後の成長を可能にした
社会主義国的だった戦後の日本 ブロックチェーンが社会を変える
持続不可能になった戦後システム
新たな概念やシステムを創造するイノベーションという時代へ
明治大正経済システムの活力の源泉
相変わらず部分最適を求め続ける日本の政治
コミュニティは国と個人をつなぐ緩衝材
白川郷の「結」にみる伝統的なコミュニティ
広州市の飲茶店の老人たち
江戸時代における生産集団コミュニティ
リタイア後も活躍できる新しいコミュニティが必要 ブロックチェーンが社会を変える
自分の居場所が発見できなかった団塊ジュニアたち
官でも民でもない、公という考え方
パブリックな価値をサポートするおカネの流れを
地域コミュニティと価値創出コミュニティ
デジタライゼーションが人間的な社会をつくる

第2章 国民に健康と食の価値、元気な超高齢社会で安心できる生活づくり
活力ある超高齢社会の運営モデルの構築で、危機をチャンスに
利用者ファーストの社会に変えていく
利用者視点に立って医療サービスのシームレス化を
なぜ日本の医療には地域での連携が不足しているのか
医療改革はデータの完全電子化から
降圧剤処方のからくり――薬で血圧を下げる必要はあるのか
キュアの医療からケアの医療へ
いろいろなタイプの医師が必要になる
コミュニティづくりは元気に活動する高齢者を生み出す
個人情報の活用の事例としてのオーダーメイド医療
基礎データの共有ができていない日本の医療システム
政府も個人情報のすべてを閲覧することはできない
消費税アップの背景にあるもの
消費税をアップすることなく社会保障負担の問題を克服する
医療に「コストからバリューへ」という発想の転換を
ビジネスクラス理論
寄付や出資をしやすい仕組みをつくる
三層構造の医療財源システムで日本の金融資産を有効に活かす

第3章 豊かさ上昇曲線の経済づくり経済財政政策の枠組みを変える
大きな幸せを描ける改革が本当の改革
新自由主義的な改革論はもはや時代遅れ
株主資本主義が日本経済の長期低迷をもたらしたメカニズム
株主資本主義に必要なのはコミュニティ型の社会基盤
岸田政権の「新しい資本主義」よりも「日本力資本主義」を
日本経済に必要な方向と日本人による成長フロンティアの創造
政府投資の新しい役割
不良債権処理が経済停滞をもたらしたメカニズム
まず未来へのストーリーを描くのが政治の役割
不確実性はリスクとは異なる
日本は国家機能が弱すぎる国
国の方向性がわかれば、国民の努力の方向性が変わる
不発に終わった「異次元の金融緩和」
日銀当座預金を減らす方法は1つしかない
貸す相手がいないのか、貸し付け審査が厳しいのか
リスクを取らない消極的なマインド
経済政策の一丁目一番地は国内投資を増やすこと
人口減少国としての生産性の向上という課題
歴史的にもまれに見る人類社会のパラダイムチェンジ
財政支出の性格と労働への価値観の変化
AI情報化時代は「レイバリズム」からの脱却! ポストコロナの処方箋
ルーティンから自らを解放して知的で創造的な人生を
お金が制約になっている仕組みの転換を…国債を貨幣に交換する
国の財務を考える「真の財務省」へ
「投資国債」という概念を作り出す
なぜ一般会計を投資、経常、社会保障の3つに区分すべきなのか
財政の「見える化」が国民自身の判断を促す
正常性バイアスにおかされた?MMT
もはやフローの対策では財政再建などできない
じつは国の借金の半分がすでに消えている
永久国債への乗り換えで財政再建効果は確定
出口戦略の決め手は「デジタル円」
スマホで手続きと支払いがワンストップの世の中に
永久国債という資産を、デジタル円という資産にする
国債償還の負担をなくし、インフレにもならないデジタル円
2022年、デジタル人民元の脅威
中国は世界最大のプラットフォーマーに
通貨の概念の変革とブロックチェーン
ユーティリティトークンで花開く日本各地のコミュニティー
電子データが主導する時代と中国による覇権
ブロックチェーンを実装した社会に
日本はブロックチェーンで世界標準を創る国になる

第4章 自らの幸福を自ら生み出せる人づくり
戦後システムを乗り超えるためには教育にもギアチェンジが必要
「何をするために生きていくのか」を考える教育が必要
兼業や副業を認める社内制度が社員も企業もハッピーにする
教育改革の肝は人の評価尺度を転換すること
人づくり教育改革の柱とは
教育改革は社会の改革

第5章 人類社会の課題解決へ 世界を先導し続ける科学技術づくり
分野を横断する俯瞰的な体制を
AIを使いこなす「人間中心の科学技術」に
文理融合
基幹的な製品は全部国産化する
日本的なよさへと熟成して価値を生み出す
情報技術の急速な進歩と「第四の波」
想像もできない変化が起きる未来社会
日本発のプラットフォームを可能にするブロックチェーン ブロックチェーンが社会を変える
ブロックチェーンを社会実装することのメリット
デジタル庁もブロックチェーン革命の旗振りを
ブロックチェーンは仮想通貨ではない、その本質的な特性について
ブロックチェーンが生み出す従来にない利便性
変化に対して自ら変化できない絶滅種にならないために
ブロックチェーンのイノベーションの特性
既得権益の壁を超えた組み立てができる政治勢力を

第6章 自らの国は自ら守る国防力と危機管理力づくり
菅前総理の初外遊先がベトナムだった理由
「八紘為宇」はじつは世界平和の理念
核保有はせずとも、核戦略は必要
脆弱な日本のサイバーセキュリティ意識
「ウサデン」の防衛体制強化に乗り出した防衛省
現行憲法は日本の国家主権をあえて否定している?
詭弁を重ねてきた解釈改憲
日米安保の発動には、まず日本の自衛が必要
なぜアメリカは日本に安全保障の役割の強化を求めるのか
戦後の平和は憲法9条のおかげではない
お互いが納得できる歴史認識を
目覚めよ日本人、国民に危機感のない日本の危機
オールドメインの「先手対応」を
フィールドインテリジェンスは日本が担う役割

第7章 日本らしいリーダーシップで世界に大調和を生む外交づくり
力で捻じ伏せるリーダーシップの終わり
日本の魅力と新しいタイプのリーダーシップ
日本はルールづくりを先導できる絶好のポジションにある
日本の立ち位置を明確にしてアジアの秩序形成を主導する
全体主義に対抗する明確な立ち位置を示す国に
アジアのインフラ整備も日本新秩序で
「日本型クオリティ・オブ・ライフ」を伝播させる
なぜ日本は謝罪を求められ続けているのか
事実に基づいた正しい歴史認識も外交の基本に

第8章 国民自らが選択し参加する納得の政治・行政づくり
国民の信頼なくして政治は成立せず
なぜ野党は政権交代できないのか
「投票したい政党がない」
地方が自立できない財政の構造的問題
道州制の決定的な落とし穴
オンリーワンの魅力と江戸時代の藩
中央と地方を「車の両輪」の関係に
霞が関は「退官後の生活保障共同体」
プロフェッショナルな人材の育成と流動化を
リボルビングドアの受け皿となるインスティテュートを
政治を変えるには

第9章 地球と調和的に共存する循環型の環境・エネルギー体系と国土づくり
地球との共存と日本の歴史的使命
本物の保守思想の原点は日本の恵まれた自然や豊かな土壌
なぜ日本は環境調和型のインフラ整備ができないのか
性急な再エネシフトは持続可能な温暖化対策を阻害する
エネルギー構成比率の最適解は思想ではなく技術が決めるもの ブロックチェーンが社会を変える
再エネの問題点と日本版SDGs
次世代原発と二層構造のエネルギー供給
発電事業とブロックチェーン
原発管理や電力供給についての国の役割について
自然災害と危機管理
国土強靭化と防災コミュニティ

第10章 自由と文化と日本の国柄を守り育てる国家アイデンティづくり
日本のアイデンティティの根幹としての皇統
天皇と国民との絆に日本の「國體」がある
血縁、心縁、治縁……祈りを通じて束ねられたものは戦争よりも強い
新しい文化を世界に発信する文化大国に
国益と尊厳を守るために史実に即した歴史認識を
「グローバル全体主義vs自由社会を守る国民国家」という対立軸
日本の政治が「戦後」を超えるための政界のアウフヘーベン

おわりに 参政党の政策ポイント

■著者 松田 学(まつだ・がく)
松田政策研究所代表、参政党共同代表、未来社会プロデューサー、元衆議院議員。 1981年東京大学経済学部卒。同年大蔵省入省、西ドイツ留学、大蔵省など霞が関では主として経済財政政策を担当。内閣審議官、財務本省課長、東京医科歯科大学教授等を経て、2010年、国政進出のため財務省を退官。2012年、衆議院議員。2015年、東京大学大学院客員教授。松田政策研究所代表のほか、バサルト株式会社代表取締役社長、一般社団法人デジタルアイデンティティ推進コンソーシアム代表理事、ジパングプロジェクト株式会社取締役会長、横浜市立大学客員教授、その他、多数の役職に従事。 主な著書に、『競争も平等も超えて』(財形詳報社)、『永久国債の研究』(光文社)、『TPP興国論』(KKロングセラーズ)、『国力倍増論』『サイバーセキュリティと仮想通貨が日本を救う』(以上、創藝社)、『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』(アスコム)、『新型コロナがほんとうにこわくなくなる本』『新型コロナ騒動の正しい終わらせ方』(以上、方丈社)などがある。

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